分かっていたとはいえ、実際に作業してみるとプラグ交換はなかなか骨の折れる作業だった。
カムカバーとエンジンルームのサイドメンバーのわずかな隙間に手を入れてそこからシリンダーヘッドに組みつけられているイグニッションコイルを外して、その下のスパークプラグも外して、それらの新品を取り付けるのだ。
書けば3行で終わるが、実際には最初の1気筒分を外すだけで2時間くらいかかった(気がする)。悪戦苦闘の末に、なんとか交換作業を終えた。二人とも手はアザだらけ、腕はキズだらけだ。
TONEの水平対向専用プラグレンチも購入して使ってみたが、狭い空間内で短いエクステンションを抜き差しするのはかなり難しい。試した結果、ユニバーサルジョイントを組み合わせた方が使いやすいと筆者は感じた。
実際、KTCの水平対向専用プラグレンチはユニバーサルジョイントが組み合わされている。筆者は長さを調整するためにもソケットのサイズが異なるユニバーサルソケットを2つ組み合わせたが、KTCはTONEより長めのエクステンションとユニバーサルを組み合わせているので、どちらが使いやすいかは好み(手の大きさ?)によって分かれるだろう。
そしてプラグとコイルを交換し終えたBRZは、マフラーからの排気音が乾いた音質になり周波数も若干高めになった印象。そしてエンジンのレスポンスとトルクが明らかに向上し、さらにノーマルのBRZとは違いが明確になった。吸排気チューンの効果がより引き出された感じだ。
そしてエンジンフィールが滑らかになったことにも驚いた。これまで失火していた領域があったとは思えないから、これはスパークが強くなったことで燃焼速度が上がり、よりピストンを押し下げる力が上死点付近で高まっているのだと推測できる。これは予想外のメリットだった。
プラグ交換前は加速Gのムラが大きかったのに対し、交換後はムラが小さくなって加速感も滑らかになった。なお、加速Gが大きく異なるのは路面の傾斜など負荷が異なるためで、実際にはここまで加速Gは増大していない。
こういうことがあるから、エンジンは面白い。モーターは効率が高く、トルクも太いがシンプルな構造の分、予測できる乗り味でしかない。エンジンは熱効率で無駄があるからこそ、まだまだ個人レベルで煮詰める余地があるのかもしれない。
本来はまずスパークプラグを新品に交換し、エンジンフィールの変化を確認した上でイグニッションコイルをハイスパークに交換してその効果を確認する方が、より個別に効果を確認できるのだろうが、とてもこの作業を2回繰り返す気にはなれなかったので、今回は新品プラグと高性能コイルに交換した効果を試すことにしたのだった。
また数年後、もし今のBRZにまだ乗っていて再びプラグ交換するとなったら、さらに工具を用意すれば、かなり作業時間は短縮できるのは間違いない。でもまた筋肉痛と腰痛、さらに手と腕はアザだらけになるのは…。