クルマが安く手に入るようになってきた。特にタマ数多く選びやすい86/BRZは今が買い頃と言えるタイミングだ。
ちょっとクルマに興味がある人なら、トヨタ86/スバルBRZを知らない人はいないだろう。トヨタとスバルの共同開発によって生まれたFR駆動の2+2シーターである。街を走っているクルマはミニバンやSUVが多くを占める中、そんな背の高いクルマに混じってよく見かけるスポーティなクーペだ。
スポーティカーにしてはよく見かける、これこそが「86/BRZが買い」な理由だ。人気があるクルマ、つまり販売台数が多いクルマは、中古車でもタマ数が豊富で、比較的割安になる傾向にある。累計10万台の販売台数を誇る86/BRZは、まさにそんな中古車の典型的なケースなのだ。
人気のスポーツカーだから比較的割高なのでは、と思う方もいるだろう。確かに初年度登録からの経過を考えれば、値落ちが少ないクルマではある。しかし中古車のタマ数が少なければさらに価格は高騰したはず。
そもそも86/BRZは当時のトヨタ自動車の社長だった豊田章男会長が「若者が手に入れて楽しめるスポーツカーを販売する」という目的で開発をスタートさせたと言われている。しかし2012年に実際に発売された時には、予想より高めの年齢層に人気が集まった。
それはエントリーグレードはワンメイクレース用のモデルでエアコンも付いていない質素過ぎるグレードであり、実際には自動車保険を含めた乗り出し価格は300万円近くになるという、ちょっと一般の若者には手が出せない価格帯のクルマだったからだ。
しかしそれから11年が経過した現在、中古車が豊富で価格もこなれてきた。初期モデルで走行距離が進んだものは60万円前後からあり、若者が遊びクルマとして手に入れるにも絶好のタイミングとなっている。シルビアやロードスターが値上がりしている今、あまり古いと経年劣化も大きく信頼性も低下するから、86/BRZは安心して乗り回せるスポーツカーと言える。
価格が手頃で中古車のタマ数が豊富
中古車も市場に1500台近くあるスポーツカー、しかもMT比率は5割というのは、ちょっと他には見当たらない。
マツダ・ロードスターがあるじゃないか、と言われる方もいるかもしれないが、あちらは4世代もかき集めてのもので、年式もコンディションも幅が広すぎる。その点、86/BRZは8年間の生産期間だけで、これだけのマーケットを築いたのだ。
やはりトヨタのマーケティング戦略と販売力はすごい、と思わされる。なぜならスバルは同じクルマを販売しても3分の1にも満たないのだ。
スズキのスイフトスポーツもFFハッチバックながら、走りが楽しめるスポーティなモデルで、リーズナブルな価格で楽しめる代表格と言える。
けれどもFFハッチバックとFRスポーツでは、そもそもクルマの動き方が違う。ホットハッチの軽快かつ安定感のある動きも運転が楽しいが、ステアリングを切った瞬間にノーズが向きを変えるシャープな動き、そうして始まったコーナリングを安定させて、出口へと向かわせるペダルワークに繊細に反応するのは、重心が低くボディ剛性の高さとサスペンション性能、そして操舵系に至るまで走りに最適化されたスポーツカーだけの特性だ。
毎年年次改良が施されていることから、通常の年式や走行距離だけでなく、アプライドでもこだわって選ぶことができる。見た目に前期モデルが好きなら、前期でも最終版のアプライドCを選ぶ、なんてことが可能なのだ。