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「雪道をノーマルタイヤで走りスタックするドライバー」を減らす手段について考える

雪道走行が予想されるのに、夏タイヤのまま出掛けてしまうドライバーはどう考えて行動しているのか。どう対策すれば立ち往生による渋滞は防げるのだろうか。

社会全体の問題として「自己責任意識の限界」もある。多くのドライバーは、自分が事故を起こさなければ問題は自分一人で完結すると考えがちだ。しかし実際には、立ち往生した車両一台が道路を塞ぐことで、後続車や緊急車両、物流全体に深刻な影響を与える。このように個人の判断が公共インフラに直結するという認識が十分に共有されていないことも、無謀な行動を助長している。

では、こうした立ち往生による渋滞を防ぐには、どのような対策が必要だろうか。第一に重要なのは、情報やその伝え方を変えることである。単に「雪道では冬タイヤを装着しましょう」と呼びかけるだけでは効果は限定的だ。さらに「罰則がある」「損害賠償の可能性がある」といった警告では、理屈としては正しくても、「実際には検挙されないだろう」「チェックされる確率は低い」という楽観的な判断を生みやすい。

その結果、リスクを織り込んだ上であえて夏タイヤで走行する、いわば“確率論的無謀”が発生してしまう。人手不足によってチェーン規制の実効性が低下している現状を考えると、対策は「取り締まり強化」だけに期待することはできない。

したがって、規制の実効性を高めることが効果のある対策として挙げられる。大雪が予想される地域や時間帯においては、冬タイヤ規制やチェーン規制をこれまでより早めに、かつ広範囲で実施し、物理的に夏タイヤ車が進入できない仕組みを整える必要がある。これはドライバーの判断に委ねるのではなく、「選べない状況」を作るという意味で有効な手段だ。

そしてドライバーの教育と啓発の継続も欠かせない。雪道で夏タイヤがどれほど危険かを、制動距離の違いや実際の事故・渋滞事例を用いて可視化することで、「自分だけは大丈夫」という幻想を打ち砕く必要がある。免許更新時の講習や、メディアを通じた分かりやすい解説も重要な役割を果たすだろう。

雪道での立ち往生は、個人の判断ミスであると同時に、社会全体のリスク管理の問題でもある。ドライバー一人ひとりが「自分の選択が他人の生活や安全に直結する」という意識を持ち、行政や企業がそれを後押しする仕組みを整えることで、はじめて同じ悲劇を繰り返さない社会に近づくと言えるだろう。

だが個人主義の人間が増えたこの日本で、そんな理想論が通用するだろうか。これには「事後責任」をより明確かつ確実なものにする仕組みが必要だろう。

立ち往生による渋滞が発生した場合、当該車両のタイヤ種別や装備状況を客観的に記録し、後日でも責任を問える制度設計が重要なのである。例えば、道路管理者や警察、レッカー業者が連携し、明らかに冬用装備義務に反していた車両については、レッカー費用や除雪対応費用を確実に請求する。これが「必ず起きる結果」として社会に浸透すれば、「見つからなければ得」という期待値は大きく下がることになる。

技術を活用した自動的に抑止することも有効だ。すでに多くの車両がカメラやセンサー、通信機能を備えている、これを活用しない手はない。積雪・凍結エリアに進入する際、車両側が冬タイヤ装着を前提とした警告や、ナビゲーション上での強制的なルート制限を表示する仕組みが考えられる。

人が止めるのではなく、「クルマが進めない・進みたくなくなる」設計に近づけることが、人手不足時代には現実的だ。自動車メーカーや上位サプライヤーは、こうしたシステムの開発にも力を入れるべきだ。自動運転より前に、クルマが知能を持ってドライバーに警告して運転をアシストする仕組みが必要なのではないだろうか。

企業・組織単位での責任明確化も欠かせない。特に社用車や配送車両が立ち往生を引き起こした場合、個人ドライバーではなく、運行管理体制そのものが問われる仕組みにする。企業が「冬装備をさせない方がリスクが高い」と判断すれば、装着率は一気に上がる。個人任せの啓発には限界があり、組織的な縛りが実効性を持つ。

結局のところ、雪道トラブルを防ぐ鍵は「良心」や「注意喚起」ではなく、「そう行動する方が得だ」と誰もが感じる環境づくりにある。検挙されるかどうかの賭けに出る余地を減らし、走らない・備える選択が最も損をしない社会的仕組みを整えることこそが、立ち往生渋滞を本質的に減らす対策と言えるだろう。

とここまで書いても、立ち往生をしでかす情弱ドライバーは、こうした記事など見てくれない。どうすればいいのか、それはパーソナルな空間である車内と、社会のつながりの限界と言ってもいいのではないだろうか。

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