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富士スピードウェイが生んだのは名勝負、レジェンドドライバーだけではなかった。富士を彩ったマシンたちへの熱い想いを語る!

「私は御殿場出身で、子供の頃から富士スピードウェイに接点がありました。だから、このサーキットには人一倍、思い入れがあるんですね」。

そう語るのはトヨタ自動車の東富士研究所で長年レースエンジニアを務め、現在は渉外広報本部から出向して富士モータースポーツミュージアムでシニアエキスパートを務める小宮山泰央氏だ。

「オイルショックで自動車メーカーがモータースポーツから撤退した後、富士スピードウェイでレースを盛り上げたのはグラチャン(富士グランチャンピオンシップレースの略。フォーミュラマシンにボディカウルを被せた富士独自のカテゴリー。GCとも略される)とマイナーツーリングだと思うんですよ。そういった富士スピードウェイの伝統とか歴史も大事にしていきたいですよね」。

確かに世界中にクルマの博物館はたくさんあるが、サーキットに隣接されているものはその地域でのレース文化を伝える展示が珍しくない。ならば富士モータースポーツミュージアムも、富士スピードウェイミュージアムとは銘打っていないが、こにしかないクルマ、富士のヒストリーを感じさせてくれるクルマがあってほしいと想わせるのも自然なことだ。

しかし、その一方でこの富士モータースポーツミュージアムは、富士スピードウェイホテルのエントラント部分に併設された施設だという側面もある。ハイアットグループが運営する五つ星ホテルの一部だけに、その品格に見合った内容でなければならない、という環境もある。

小宮山さんも「そのバランスが難しい」と語る。

「エスカレーターで3回のフロントへと上がっていく、その途中に見える1階2階の展示スペースの雰囲気もホテルの演出の一部ですから、そこは大事なところです。でも富士モータースポーツミュージアムとして収益を上げなければ最終的には存続できませんから、展示の仕方に気を配りつつ独自の見せ方を考える必要があるんです」。と実情を吐露した。

そして3階のカフェ&ショップではここでしか買えないモノをお土産として用意するなど、おもてなしの気持ちを忘れない。

「インバウンドのお客様だけをターゲットにしている訳ではありませんから、金額の高いグッズばかりが売れるようなことはありませんよね。でもミニチュアカーなら、どこにでも売っているモノではなくここだけの限定パッケージというだけで、来館記念に手にとっていただける。そういう努力も必要だと思っています」。

アイデアや感性は人それぞれであるから、社内の会議では時には喧々諤々(けんけんがくがく=大きな声で意見を交わし合う)の議論に発展することもあるようだ。

「それと「昔の開発者やレースエンジニアは、こういうクルマ作りをしてたんだ」と今クルマ作りをしている若いエンジニアの方たちにも、見て感じて参考にしてほしいとも思うんですよ」。

入り口にあるトヨタ7はボトムを見せるよう90度横に持ち上げられた状態で展示されており、コックピット内部や足回りなどは実際に構造を確認することができる。他のマシンたちも覗き込めば色々な部分が観察できる。

エンジニアにとってこれ以上の教科書はないのでは、と思うほどレーシングカーの歴史が凝縮された博物館なのだ。

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