ここは埼玉県某所、エアロパーツメーカーのガレージベリー。マスターモデル製作から成形型への貼り込みまで、何でもこなしちゃう中根社長に色々話を聞いてみた。
中根社長「最近はね、車検対応って売らなくてもいいかな、って思うようになってきたよ。そもそも車検に通るか通らないかっていうのは、わからないから」。
どういうことですか? 保安基準がしっかり決められているんだから、その基準通りに作れば車検は通るんじゃないんですか?
「そうなんだけど、一応その規定で作りましたって言ってもさ、ディーラーは車検に通るカスタムなのにダメって言うんだよね」。
確かにディーラーによってはダメですね。もちろんディーラーでもレベルが色々ありますけど、改造車お断りっていうとこ多いですもんね。

「車検場行ってこれダメだよって言われたら、大体そのパーツを外せばいいじゃない。だけど、ディーラーなんかだと、外したパーツをまたつけて、お客さんに返せないからね」。
入庫すらダメって言われますもんね。ほんと最近、車検が厳しくなりました。
「不思議だよな。うちの移動工作車のハイエースあるんだけど、車検行く度に「これしなさい、あれしなさい」って追加作業が増えるんだよ。以前はそのまま通ったのにおかしいよね」。
いや、もう、だから、その、検査員によっても判断がバラバラじゃないですか。
ディーラーのフロント、プライドもあって後に引けず?
「この間もGRヤリスのリップスポイラーが問題になったんだよ。この間、GRヤリスの車検取ったんだけど、マイナー後にしては普通にサイドブレーキとか、あと車高で引っかかっちゃっただけでさ」。
「何回か直して通ったんだけど、エアロパーツは大丈夫だよって言われてたのに。同じ仕様のヤリスが、神奈川のディーラーで車検落ちたんだよ。じゃあ外せばいいじゃんって言ったら「いや、うちはディーラーだから」って返事でさ。それなら記載変更すりゃいいじゃないですか、って言ったら「リップスポイラーでは記載できません」って言うんだよ」。
「ところが、そしたらね次に電話かかってきたら、論点が変わってて、今度はカナードが突起物になるって言い出したんだよ。でも本来外寸から出てなきゃ大丈夫じゃない?」。
「だけど角が出てる突起物だから、2.5R以上あるか証明書出せって。車検場は2.5Rなんか測れないでしょ。でもオーバーフェンダーだったら、記載変更できるんですよ」。

「うちで15ミリのオーバーフェンダー出してて、もう2ミリぐらい出っ張ってれば、うん、リップスポイラーもそのぐらい出っ張ってるから、「じゃあオーバーフェンダー改造して出荷しますからオーバーフェンダー買ってください」って言ったんだよ。でも結局注文来なかったね」。
つまり車検は通った、ということですよね。なんだかなぁ、向こうも後に引けなくなっちゃったんじゃないですか。
「そうそう、結局そういうことだよね。うちの商品はね、なんか問題あるといけないからさ、うちが自分で車検場に行って通るの確認してるんだよ」。
「それでも車検時に揉めるから、車検通るって言えなくなってきちゃったよね。車検場や検査員によって、対応がこんなに違うからさ」。
トラックの車重が重くなったり軽くなったり?
「うちのトラックの床がぼろぼろに、もう朽ち果てちゃたのよ。それなら鉄の縞板に張り替えると綺麗になるから、そうしようってことになったのよ。ただ板金屋が、「木と違って重たいから車両重量が増えて、その分積載量減らされちゃうよ」って言ってたの。いいじゃんそんなに積まねえよ、みたいに言ってたんだよ」。
「そしたらさ、車検場で120kg重たいから、ブレーキの諸元表出せって言われたの。100kg未満ぐらいだと何も言われないんだけど、120kg重たいから。だけど、それめんどくさいじゃない。だから荷台のアオリを外したの。外したら全部で120kgあったの。枚何十kgってあるから体重計で測っただけなんだけど、何キロだなと思って」。
「で、もう一度車検場に持ってったらさ、あれ?ノーマルより120kg軽いねって言われちゃったんだよ。ちょっと待ってよ、240kgも差はないはずじゃない。外したアオリの重さは測ってるんだから」
アオリ3枚は外したってことですね。それ自体は重量測ったんですか。
「それは俺が測ったら120キロあったから、間違いない」。
じゃあ、いってこいですよね。増減で0kgになるはずじゃないですか。つまり、縞板分が軽い。重たくなってなかったんですね。
「そうなんだよ。だけどアオリは、もう外してクルマを持ってっちゃったし。それで後ろにLEDの作業灯ついてて、ホンの1センチだけでっぱってた。だから、それで記載変更しちゃったよ」。
「まったく馬鹿なヤツばかりでさ。もうそのあとは、ほんとはアオリ外さないと、その重さで車検が通らないはずじゃない?」。
「なのに、所沢のナンバーなんだけどさ、いつも練馬に車検持ってくけど、1回も言われない。車検場のライン通ると車軸の重量測るんだよ?」。
そもそも、縞板で重くなってるっていうのは、誰が発見したんですか。
「いや、だからこれ重いねって。いや、縞板がどうのこうのなんて全然わかってないんだよ」。
なるほど感覚かぁ。その時点では感覚の話なんですね。
「ちょっと重たいから。これは120kg重たいからって勘違いしちゃったんだよね、きっと」。
ノーマルの床板の重さを考えずに、縞板の鉄板だけ足しちゃったんじゃないですか。差し引きすればよかったのに。
「いや、よくわかんないけどさ。でも240kgの差が出ること自体がおかしいのよ。車検場めちゃくちゃだよ。ほんと。メチャクチャなことを最近言うようになったよ」。
しかも外圧でどんどん規制が緩和されてる部分もありますよね。米国車なんかそのまんま認証通っちゃうようになるらしいですし。でも純正部品の流用なら記載変更とか改造申請要らなくなってくるみたいなんで、カスタム業界も面白くなってきそうですよ。





