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電動キックボードの何が問題なのか、整理して考えてみた。そこにはドライバーの特権意識も影響していた

電動キックボード問題、これは電動キックボードのシェアリングサービスを利用するユーザーのモラルの低さ、危険な走行が問題視されているけれども、それだけが原因ではないのではないだろうか。

その根底にまず、日本の道路環境の劣悪さがあることは、誰もが認めるところだろう。日本の道路は徒歩を目的に作られ、都市や住環境が整った後に馬車や鉄道、クルマが通るよう整備されたという歴史がある。

したがって道路は狭く、複雑になっており、欧州のように自転車レーンが完全に整備されたところはほんどなく、歩行者の安全が確保された道路はまだまだ少ない。道交法での歩行者優先と、交通事故時の弱者救済の観点から、歩行者は最も保護される存在であり、ドライバーは歩行者を避けることに特段の注意を払っている。

そんな状況からドライバーは日頃ストレスが溜まっているところに、前述のように電動キックボードが歩行者のように傍若無人な振る舞いをしていれば、イラつくのは必至だろう。電動キックボードや自転車は、車両であるにもかかわらず、歩行者のつもりで乗り回している利用者もいるのだ。

ドライバーがそんな思いになるのはクルマを乗り回すためには、様々なハードルをクリアしなければならないからだ。クルマの運転免許を取得し、クルマを購入し、税金などの維持費を払っていくのは、金銭的な負担が大きい。

だから自分はクルマに乗って、道路を利用する権利があるという意識が働き、さらに車内は閉ざされた空間なので「自分の世界=自分の考えが正しい」と思い込みやすい。

「こっちは高い金払ってクルマと道路を利用してるのに!」という思いから、ヘルメットも被らず、シェアリングの安価なサービスで電動キックボードを当然のように道路を利用していることに反感を覚えるのではないだろうか。いわば特権意識のようなものが、電動キックボードを迷惑な存在と決めつけてしまっているのである。

だが実際には乗用車を所有するオーナーでもシェアリングサービスを利用することはあるだろうし、クルマを所有しない高額納税者もいるはずだ。

運転が得意でないドライバー、クルマに乗って気が大きくなっているドライバーにとって、自分以外の存在は邪魔なのであり、そんな人にとってフラフラと身勝手に走る電動キックボードは迷惑な存在以外の何者でもないのだろう。

そのためルールを守っている電動キックボードにもネガティブなイメージが持たれてしまう。

外国人も日本人もルール軽視の利用者がいるのは織り込み済み?

また外国人の利用者は、海外のルール同様の感覚で利用し、法令遵守の意識が低く、二人乗りや信号無視など目に余る行為も動画サイトやSNSで報告されている。

だが日本人でもルール軽視、マナーの悪い利用者はいる。免許不要というハードルの低さは、「交通ルールを知らなくてもいい=知っていても守らなくていい」と勝手に拡大解釈するユーザーを集めることになってしまっているからだ。

もちろん、そんなユーザーばかりではないことは誰もが知っている。しかし便利なモビリティであるがために、そんなユーザーを引き付けてしまう要素があることが電動キックボードの問題なのだ。

そんなマナーの悪い利用者は一部だけ、という意見もあるが、それは通用しない言い訳でしかない。というのも、前述のように日本の道路環境は先進国では劣悪とも言える。狭い道路でノロノロ、ヨタヨタと走る電動キックボード自体が迷惑な存在なのである。

つまり正しく利用しているユーザーでも、周囲からは危なっかしい存在であり、できれば居て欲しくないと思っているドライバーは少なくないだろう。

だがドライバーは、それでも電動キックボードを邪魔者扱いするのは、危険な考えだ。いかに危なっかしい存在でも、いきなり路上に現れたのでなければ、想定外とは言い切れない。

日本でクルマを運転する以上、公道でのリスクはすべて織り込み済みと思わねばならないのだ。それがクルマという道路上では最強の存在を利用する人間の責任なのである。言い訳をするのは裁判になってからでは、後悔しても遅い。

自らが不利になるトラブルは避けるのが、現代人の賢いサバイバル術と言えるのかもしれない。歩行者や電動キックボード、自転車を邪魔だと思うのはドライバーの驕りと考えなければいけないのだ。

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