初代コペンをモチーフとしたコンセプトカーがステージ上にあり、その下には現行のコペンが置かれていたダイハツブース。他にも気になるモデルはあったけれど、まずはこのスポーツカーに注目した。
コンセプトカーは前回もヴィジョン・コペンの名で1.5Lエンジンを想定したFRスポーツが出展されていたが、今回のモデルとどう違うのか?


FRはすごくバランスが良いのはもう昔から分かってましたが、 FFは生産効率とかパッケージングとか軽量化とかいろんなことに効くから、 FFでここまでスポーツカーを作ったのがダイハツさんの凄いところじゃないですか。それをまた FRに戻っちゃうっていうのはなんか逆行まではいかないけど、じゃあ今までやってたのは何だったのみたいな気もします。どういう意図なんでしょう?
「最終的にねこうどういう形になるのかわからないし、今いろんな研究をしているっていう段階で、答えは全然出てません。レイアウトや機構含めて研究開発してるところなんですよ。このクルマでやりたかったのは軽のFRなんです」(ダイハツGAZOOレーシング 企画開発 相原泰祐さん)。
FRって言うか、これ、フロントミッドシップになってません? これエンジン何度傾けているんですか?


「そうなんです。フロントミッドシップ。エンジンは67度傾けて搭載しています。実はこれ、ハイゼットトラックのパワートレーンを流用しているんです」。
67度! 確かトヨタが昔、75度っていう傾き角のエンジンをエスティマのために開発したことがありましたよね。でも他の開発主査から怒られたらしいです。お前らクルマのためにエンジン開発するのか!って、でもこれは上手いこと流用して使えてるわけなんですね。軽トラのハイゼットで実績あるエンジンなら、問題なく使えそうですね。
「理想を言えば、もうちょっとフロントタイヤとキャビンの間に隙間を持ちたいんですけど、これはとりあえず現行のコペンに現行のハイゼットのパワートレーンとか有り物を組んで作ってるという第1弾です」。
「このクルマに乗って、スポーツカーの楽しさをまず確かめています。実際楽しいんですよ。どんな感じかっていうと、まずやっぱり「止まる・曲がる・走る」の止まるを重視したいんですね」。
まず、曲がるじゃなくて?
「まず止まるんです。止まらないと曲がれませんから」。
それはそうだけど。FFでも止まれるじゃないですか。
「でもブレーキングするときに、前後重量配分がしっかりしていないとリアブレーキを上手く使えません。だからまず、しっかり止まる」。
なるほど。
「そしてターンインする時にしっかりノーズがインに向いて、立ち上がる時にリアタイヤにしっかりトラクションかかるか」。
ちなみにこれリアサスペンションは今は、どういう形式のモノが入ってるんですか。。
「リジットでホーシングもハイゼットそのままです。独立懸架じゃありません。課題はその辺のリアサスの形式と、それに伴って電動ハードトップオープンにするか、電動ソフトトップにするか。またはタルガにするか。この2つを迷ってまして、このモビリティショーでも皆さんの声をお伺いして、活かしたいなと思ってます」。
ダイハツGAZOOレーシングの本気度が見えた?
ホントに作る気なんですね、じゃあ。
「本当に今、いろんな方向性を探っています。実は私、来月ラリージャパンにはドライバーとして出場するんですよ」。
そうなんですか! じゃあミライースターボとかにもかかわってる?
「もちろんイースとロッキーとコペンでやってます。このクルマは軽なんで、やっぱり維持費が安いってことで、オーナーの笑顔が長続きする、そういうクルマにしたいと思ってます」。

そうすると、4リンクリジットだとブレーキング時にリアがスクォート(車体後部が持ち上がる)としちゃうから、できればやっぱり四輪独立懸架にしたいですよね。
「そう、そういう声をね、皆さんからいただいて作りたいですよね」。
なるほどですね。バッテリーがバイク用みたいに小さいのはリチウムイオンですか? やっぱり軽量化のためでしょうか?
「はい、フロントの慣性重量をなるべく減らしたくて、イマドキのバッテリーにして前後重量配分の研究してます。ほんとにね、これ試験車なんですよ。普段こんなにお見せしないぐらいの。だから下回りも土がついたまんまです」。
あ、ほんとだ。汚れてる。しかも補強も色々入ってる。
「フロントタイヤの接地感を確かめながら、ブレース(補強)も抜いたり差したりしてます」。
なるほど。ガチガチに固め過ぎるとまた曲がりにくくなりますもんね。スポット溶接も増したりしてるんですか?
「はい、来月ラリージャパンで走るFFのコペンと全く一緒のスポット増しをしてるんです。ワイドボディの1000ccターボのヤツ作ってますんで」。
そんなの量産車でありましたっけ? また前のコペンみたいにそういうの限定車で作るんですか?
「いえ、ラリーカーです。あくまで僕らの研究開発用です。しっかりモータースポーツで熱のマネージメントとか確認したいんです。エンジンルーム狭かったら熱は厳しくなるので、冷却が厳しくならないように冷却を追求したり、そういうことをやっていきます。
それならスーパー耐久選手権にも出場してほしいなぁ。今はメーカーの開発車両いっぱい出てるじゃないですか!
「スーパー耐久もいいんですけど、やっぱり僕らのお客さんでサーキットよりはワインディングとかドライブなんですよね。それに速いマシンが多いのでお邪魔になりそうで(笑)」。







