ネットの書き込みを見て感じるのが「免許はMTも乗れるけど、AT車ばかり乗ってきたから上手くMTを操れる自信がない」「エンストしたら後続車に迷惑かけるし、恥ずかしい」といったもの。けれども、そんな思い込みから、結局AT車を乗り継いでいるのであれば「人生かなり損している」と言えるだろう。
AT車は楽で快適だけれど、ドライブしていても何だか物足りない。高性能車でもゆっくり走っているなら2ペダルは退屈だ。しかし、3ペダルのMTなら操作自体が楽しいから、制限速度でも楽しめるのだ。まだMT車を楽しめる時代なのだから、臆することなくMTに再挑戦してほしい
「面倒臭い」と「楽しい」は紙一重の差。AT車の運転は簡単なだけに、すぐに習得できるから運転の満足感はそれだけ薄くなる。移動自体を楽しんだり、クルマを思い通りに動かしたいなら、MTの方が操作が複雑で大変な分だけ、達成感が得られるのだ。
効果的なMT操作の練習方法とスムーズに走るコツ
レンタカーで練習するのもいいが、同じクルマで練習した方が上達は早い。クラッチのミートポイントやつながり方(クラッチのヘタリ具合など個体差で変わる)
MT車(マニュアルトランスミッション車)を楽しく、かつスムーズに運転するためには、単に操作手順を覚えるだけでなく、車の挙動やエンジンの状態を感じ取りながら運転する感覚を養うことが重要である。MT車は操作が多い分、ドライバーの意思が直接車に伝わりやすく、その点に魅力がある。以下では、基本操作の確認から具体的な練習法、スムーズに走らせるためのコツについて述べる。
まず基本となるのは、クラッチ、アクセル、シフトレバーの役割を正確に理解することだ。クラッチはエンジンと駆動輪への駆動力を断続させる装置であり、これを適切に操作することでスムーズな発進や変速が可能になる。

特に重要なのが「半クラッチ」の感覚だ。半クラッチとはクラッチがつながり始めて少し駆動力が伝わり始めた状態から、クラッチが完全に密着するまでの間の状態。
クラッチをゆっくりつなぐと途中でエンジン回転が変化して、車が動き出すポイントがある。これが半クラッチの入り口。ここを体で覚える必要がある。最初は平坦で交通量の少ない場所を選び、アクセルをほとんど踏まずに半クラッチだけで車を動かす練習を繰り返すと、クラッチミートの位置を把握しやすい。
半クラッチで繋がり始めたら、すぐにクラッチペダルを戻して、それからアクセルを踏んで加速するドライバーも多い。しかしこれはシフトショックが大きく、さらにエンストする原因にもなりやすい。
半クラッチで繋がり始めたら、クラッチペダルは数秒間そのままにすることだ。そしてアクセルを少し開けながらクラッチを離していくとエンジン回転はドロップせずにスムーズに発進できる。クラッチを完全に繋いだら、いよいよアクセルを踏んで加速させる。クラッチがつながり切る前にアクセルを踏み込んでしまうと、クラッチが完全につながる瞬間にドンッとクルマが前に押し出されて衝撃になるので注意しよう。
発進が安定してきたら、次はシフトアップの練習である。シフトアップの際は、アクセルを踏み続けたままクラッチを切るのではなく、一度アクセルを緩めてからクラッチを踏み、素早くシフトチェンジを行うことがポイントとなる。エンジン回転数が適正な範囲に収まることで、ショックの少ない加速が可能になる。一般的には、エンジン音が高くなりすぎる前、回転数で言えば2000~3000回転程度を目安にシフトアップすると、滑らかで余裕のある走りになる。
さらにクルマの動きキビキビ、楽しい運転のためのテク
減速時やシフトダウンも、MT車を楽しく運転する上で欠かせない要素である。単にブレーキを踏んで減速し、低速になってからギアを落とすのではなく、エンジンブレーキを意識して早めにシフトダウンを行うことで、車の姿勢を安定させることができる。このとき、クラッチをつなぐ際にエンジン回転を軽く合わせる「回転合わせ(ブリッピング)」を行うと、ショックが減り、よりスムーズな減速が可能となる。最初は難しく感じるが、アクセルを軽くあおるタイミングを意識して練習すると、次第に自然にできるようになる。
さらに上達すれば、コーナーの手前で減速する時にブレーキを踏みながらアクセルペダルをあおり、シフトダウンをスムーズに行う「ヒール&トゥ」ができるようになるだろう。これはある程度の減速が必要なので、街中で使うことはほとんどないが、マスターしておいてイザという時に駆使すれば、楽しくクルマの動きもスムーズ&スポーティで同乗者の見る目も変わること受け合いだ。
練習方法としては、日常走行の中でテーマを決めるのが効果的だ。例えば「今日は発進を丁寧に行う」「今日はシフトチェンジのタイミングを一定にする」といったように、一度にすべてを完璧にしようとせず、段階的に意識する点を絞ると上達が早い。また、エンジン音や振動、車体の前後の動きを注意深く感じ取ることで、メーターに頼りすぎない運転感覚が身につくようになる。

クルマによってエンジンのレスポンスやブレーキの利き方などに違いがある。こうした特性を掴んで、クルマに合ったリズムで運転できるようになると、クルマの意のままにスムーズに操れるようになるのだ。
MT車を楽しむコツは、操作を急がず、クルマとの対話を楽しむ姿勢を持つことである。最初はぎこちなくても、繰り返し練習することで操作は自然と体に染み込む。スムーズに走れたときの一体感や達成感は、MT車ならではの魅力であり、それが運転そのものを楽しむことにつながっていくハズだ。








