スタッドレスタイヤなら安心、は間違い
まずはクルマの方の準備から解説していこう。冬道を走る装備といえば、スタッドレスタイヤが
スタッドレスはあくまで雪のない状態でも走り続けられる冬タイヤ。スタッドありタイヤには氷雪性能では勝てない!
ゴムだけで凍結路でもある程度は走れる性能を確保しているのは凄いことだし、年々性能を向上させて、高速道路での安定性やコーナリング性能、乗り心地などの進歩ぶりは見事と言うしかない。
けれどもスタッドレスタイヤにも限界はある。それも状況によっては意外なほどあっけなくグリップ力を失ったりする。
それに対して金属ピンは、低μ路で絶大な威力を発揮する。氷に対して食い込んでグリップできるのは金属だけだ。ゴムチェーンでも金属ピンが打ち込まれているタイプなら、氷雪路ではスタッドレスタイヤよりも走破性は高い。
つまり氷雪路のグリップ力はスタッドレスよりもタイヤチェーンの方が上、ということだ。じゃあ何でみんなタイヤチェーンを使わないかというと、それは路面状況によって脱着しなければならないから、その作業が煩わしいのである。
ゴムチェーンなら雪のない舗装路を走ってもすぐに壊れたりすることはないが、金属ピンの摩耗が進んでしまう(アスファルトで潰されて取れてしまうケースも)ので、雪のない路面であれば速やかに取り外すことが、タイヤチェーンを長持ちさせることにつながる。
したがって脱着作業ができない、面倒だと言う人はタイヤチェーンを敬遠する。取り付けもキチンと行わないと足回り側にズレて絡まってしまってしまうリスクもあるから、ズボラな人には向いていないとも言える。
金属チェーンは氷雪路に関しては最も高い走破性をもっている。しかし舗装路での寿命が短く、状況判断と脱着がスムースにできる上級者向きのアイテムだ。もし舗装路で使い続け、チェーンが切れるとボディを傷つけてしまうこともある。
それと乗り心地に関してはスタッドレスの圧勝だ。最近は低扁平のタイヤを装着しているクルマが多いので、タイヤチェーンを取り付けるのが難しいケースもある。ホイールを傷つけたくない、というユーザーもタイヤチェーンを敬遠するだろう。
タイヤチェーンでも初心者向けのアイテムもある
しかしタイヤチェーンでも取り付け簡単でホイールにも優しく、乗り心地にも優れたアイテムも登場している。それがスノーソックスと呼ばれる布製のタイヤチェーンだ。
スノーソックスは逆転の発想。従来のタイヤチェーン、金属製もゴム製もタイヤ表面に段差をつけることで雪道でのグリップ力を確保する仕組みだが、スノーソックスは文字通り靴下のようにフラットな布でタイヤのトレッド面を覆い、雪との接地面積を高めることでグリップ力を発揮する。
耐久性はそれほどないが、ゆっくり丁寧に走れば100kmくらい使える(走行状況や車種、商品によって左右する)ものが多い。装着も簡単なので、クルマいじりなんてしたことない、という初心者でも扱えるのもポイント。チェーンを巻くのは面倒だと思っている人にもお勧めできるアイテムだ。
スタッドレスタイヤを履いても、雪が降らなければ宝の持ち腐れ、という感覚になるドライバーも多い。そんな人にはオールシーズンタイヤという選択肢もある。オールシーズンタイヤであれば、突然の降雪にも慌てることなく、そのままのタイヤで利用することができる。
ただし高速道路ではチェーン規制が敷かれたら、スタッドレスタイヤでもチェーンを装着しなければ通行できない。金属チェーンでもゴムチェーンでもスノーソックスでもいいが、雪がある道を走る可能性がある場合はトランクにタイヤチェーンを積み込んでおくことを忘れないことだ。