GWを過ぎると、天気のいい日は日差しを浴びていると車内は温室のように暑くなる。エアコンを使って冷やしながら走れば快適だが、真夏は日向に駐車していると30分もすれば車内は50℃を超える。
この暑くなった車内をいかに早く冷やすかが、ネット上でも話題になり様々な媒体が記事化している。JAFはこの課題に対し、5台ものクルマを用いて実験し、検証する記事や動画を公開している。
それらによると、最も車内を早く冷やすことができるのは、すぐに車内に乗り込んで、走りながら冷房をフル稼働させてやることなのだとか。
エンジンを始動後エアコンを全開(最低温度でファンを最強に)にして、すぐに走り出す。これによりコンプレッサーを早く動かす(走行によりエンジン回転が上昇、コンプレッサーの回転数もそれに合わせて高まる。
さらに圧縮された冷媒を冷やして液化するコンデンサーも走行風によって、効果的に冷やされるからアイドリングで停車している時と比べて、冷房は大幅に効くことになる。そうすれば、エアコンダクト内の熱気も即座に冷やされて、冷風が出てくるまでの時間や、室内の温度を下げるまでの時間が短くなる、これは当たり前のことだ。
しかし、考えてみてほしい。何のために室内を冷やすのか、ということを。そもそもは真夏に駐車して暑い車内を冷やして快適にすることが目的のはずだ。であれば、車内が冷えてから乗り込み、運転して移動する方がはるかに快適だ。
まだ熱気ムンムンの車内に乗り込み、熱いシートに座って背中や足腰で熱気を感じながら走ることが我慢できるのであれば、それはそれで構わないが、熱いシートに座って走行してしまうと、エアコンによって室内が涼しくなっても、なかなかシートは冷えてくれない。
快適な車内を早く作り出して、気持ちにも余裕をもって運転を開始したいなら、まずは車内の熱気を追い出すことから始めたい。ドアをバンバンと開閉させて熱気を追い出す方法もあるが、これは騒音問題やクルマを傷める原因、まぁまぁ運動になるので汗が噴き出るなどのデメリットがある。
開閉できるドアやリヤハッチなどすべてを開け、エンジンを掛けてアイドリング状態で冷房を全開、空気の取り入れは外気導入にする。すると、エアコンダクト内の熱気がまず追い出され、冷気が吹き出されるようになる。
そうしたらフロントドアを閉めて冷風がフロントシートにあたるようダクトの角度を調整する。その頃には外気導入から内気循環に切り替えれば、冷風の温度はさらに低下し、熱気を帯びたシートは数分で快適に座れるようになる。
そして室内が冷えてきたら、リアドア、リアハッチを閉めて車内を本格的に冷やすのだ。これはボディカラーや窓の大きさ、日照の強さなどによっても左右するが、10分も経たずにかなり冷える。
この状態になってから、走行しながら冷房で車内を冷やした方がはるかに快適だ。もちろんアイドリングで冷房を使う間は距離はまったく進まないので、燃費を考えると不利な面もある。
しかしアイドリングを10分したところで、消費する燃料はコップ1杯にも満たない。5分でもシートを冷やしてから乗車した方が快適だ。ガソリン価格が高い昨今だが、それだけに価値ある使い方をしたいものだ。
燃料を節約したいなら、クルマの駐車方法を工夫することも考えよう。日陰が理想的だが、日向でも日差しの向きを考えて止めるだけでも、室内の温度上昇には差が出る。リアガラスがプライバシーガラス、もしくはフィルムを貼っているなら、日差しが差し込む方向にリアを向けて止めた方が室温の上昇を抑えられる。フロントウインドウにサンシェードを装着するのも、もちろん有効だ。
また車内が高温になることは、室内の部品や接着剤などの劣化を早めることになる。さらに日差しにより紫外線が加わればダメージは加速する。さらには強い紫外線や温度上昇によりボディの塗装面や樹脂部品も劣化していく。
それらを防ぐには、なるべく屋根のある駐車場を利用することだ。出先で時間貸しの駐車場を探すのも、コインパーキングではなく地下駐車場や立体駐車場を探して利用するようにすれば、クルマは傷まないし、室内も暑くなるのを抑えることができる。