オールシーズンかスタッドレスか論争に結論か
日本メーカーのスタッドレスタイヤの進歩ぶりには凄いものがある。本来ゴムではグリップが難しい氷上でのグリップ性能を様々な技術で引き上げ続け、アイスバーンでの制動距離はどんどん短縮されてきた。
しかし、その一方で気候変動の影響もあり、暖冬傾向が続く事で日本海側以外は冬季でも雪が少なく、路面凍結(外気温が2℃以下で発生の可能性)の心配も少なくなってきた。
それでも何事にも万全を期すドライバーであれば冬季はスタッドレスに履き替えておく、というのがクルマの冬準備というものだが、近年は別の選択肢が増えてきた。それはオールシーズンタイヤを利用する、というものだ。
シンクロウェザーは何が凄いのか
12月某日、筆者は東京港区お台場の東京シティサーキットに居た。所属するAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)の会員向けに住友ゴムがタイヤ勉強会を開催してくれたので、それに参加していたのだ。
そこでは新商品シンクロウェザーの技術説明やタイヤに関する知識を深める解説をしてくれた。このシンクロウェザーの画期的なところは、冬用タイヤとしての性能を引き上げながら、夏タイヤとしての性能を犠牲にしていないことだ。
と言うのもスタッドレスタイヤは冬専用タイヤとして、夏タイヤとしての性能を切り捨てている部分がある。
そのためドライ性能とウエット性能は冬季であっても夏タイヤを上回ることは難しい。だから首都圏以西のユーザーは、冬でも夏タイヤを利用し続ける人が多いのだ。
特にドライ性能については外気温0℃までは夏タイヤが最もグリップ性能がよく、0℃を下回るような環境ではウインタータイヤ(日本では馴染みがないが欧州では広く使われている)が高いグリップ性能を示すが、スタッドレスタイヤはどちらにおいてもやや劣るので、氷雪路(凍結路面を含む)でなければ恩恵を感じにくいのだ。
一般的にオールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤの氷雪性能を犠牲にして、夏タイヤとしての性能を確保しているものだ。
それはサイプを減らしてトレッドゴムも夏でも柔らかくなりすぎないよう若干ゴム硬度を高めにしているなどの方法で実現している。これによってタイヤの溝を太くして排水性を高めることも実現しているのだ。
だがそれでは当然、冬タイヤとしての性能は低下することになる。オールシーズンタイヤは結局、どっちつかずの中途半端なタイヤという印象を持たれてしまう原因がここにある。
ところがシンクロウェザーは驚くべき方法で、夏タイヤと冬タイヤの性能を両立させている。冬タイヤとしての性能は、低温下でもゴムが硬くならないようゴムの中のグリップ成分をゴムとの結合から切り離しているのだ。
してさらにウエット性能は、ゴム分子同士のつながりの一部を水に反応するイオン結合とすることで、水に濡れると分子結合が解けてゴムが振動しやすくなる(つまり柔らかくなる)ようにして高めているのだ。
これは非常に画期的な技術だ。実際に走ってみてもしなやかで、少々の積雪ではまったく問題ないグリップ性能をみせてくれた。
しかも乗り心地などの快適性も高い。スタッドレスタイヤの置き場所や、ほとんど減らずに買い替えを勧められているドライバーには、このシンクロウェザーは打って付けのタイヤと言える。
関西に住んでて冬に雪が積もることは少ないですが、安全のため今までスタッドレスに履き替えましたが車を買い換えてホイルが合わなくなって明日シンクロウェザーに明日履き替えます!
これで冬も安心です、夏にはもったいないけど