EVの販売が伸び悩んでいるらしい。充電環境が整った駐車場を確保しているユーザーなんて日本には限られている。急速充電ばかりを当てにするのは、高くなった電気代を考えてもあまりメリットがないから、購入するユーザーが増えないのも当然だ。
それでもガソリンも高くなった今、電動車両の方が経済的な気もするが、ガソリン車と違ってEVはバッテリーのコストが6割を占めているから、中古車になると激安。つまりリセールバリューはどうしたって低くなる。
ハイブリッド車に乗るのも一つの方法だが、走って楽しいガソリン車を手放してまで燃費や環境のためにつまらないクルマに買い換えるのも惜しい気がする。
そんなクルマ好きなドライバーにおすすめなのがマイクロモビリティの活用だ。つまり、今乗っているクルマはそのままで、近所の足にマイクロモビリティを追加するのである。
マイクロモビリティとは電動パワーユニットを使ったパーソナルな乗り物。電動キックボードが代表的だけど、電動アシスト自転車や電動原付バイクまで含まれる。電動キックボードはバランスを保ちながら乗りこなす遊具から発達したものなので、置き場所を取らない以外は乗り物としては問題が多い。
そこでおすすめは電動アシスト自転車か、電動スクーター。シェアリングサービスのモビリティも電動キックボードと電動アシスト自転車に加えて電動スクーター(電動シートボードとも呼ばれる)をラインナップに加え始めている。
キックボードに比べてスクーターは乗り手とモビリティの重心が近く、安定感が高い。急ブレーキをかけても身体が前に投げ出されることがないので、前方で何かあってもすぐに止まれる。
さらに荷物を積むスペースがあるので、身体に荷物をまとわせる必要がない。キックボードでは肩にバッグや背中にデイパックなどを背負うと、さらに重心が高くなって運転が難しくなって危険なのである。
ちょっと近所まで、という場面ではエンジン車の場合、エンジンが温まってさあこれからという状態で到着、エンジン停止ということになって燃費は悪いしオイルは汚れ、吸気系にカーボンやデポジットが堆積してしまうことになる。
趣味のクルマがどんどん貴重な存在になる中、そんな買い物みたいな用事で走行距離は伸ばしたくないし、エンジンの調子も崩したくない。
つまりチョイ乗りはエンジンにもお財布にも厳しい。EVならチョイ乗りでも問題ないが、前述のように充電器問題やリセールの問題もある。だから今の段階ではマイクロモビリティ、それも電動スクーターなのだ。
バッテリーが小さく、乗り物としての効率が高いのもEVとは違うマイクロモビリティのメリットだ。バッテリー交換、タイヤ交換のコストが安い小さな乗り物だから強みがある。
デメリットは雨の日乗れない、ということだ。それでも最近は天気予報アプリの精度も高く、チェックしながらの利用すれば問題ない。
暑い寒い、場所をとる、税金保険が2台分。けれども特定原付や原付一種なら安い。自動車保険も原付特約を利用できる。セカンドカーをもつのは駐車場など維持費の面で難しいという人にもスクーターなら実現できる。ハンドルを折りたたみできるタイプなら、クルマのトランクに楽々収まるのだ。
愛車の走行距離を抑えたり、エンジンのコンディションを保ちたい人には、チョイ乗り用の電動モビリティの導入を考えてみてほしい。