エンジンが最も燃費が悪いのは、静止状態からの発進時。この負荷の高い状態をモーターを使うことで、燃料の消費を抑える。日産のe-Powerのようにエンジンは発電機を駆動するだけで、モーターだけで走行するシリーズハイブリッドもある。
ホンダや三菱のハイブリッドは基本はシリーズハイブリッドとして使いながら、高速巡行時にはエンジンの効率のいい部分を使って走行するシステムを採用している。
モーターを駆動する電力はエンジンの負荷が軽い時に発電したり、減速時にエネルギー回生して充電する。エンジンはある程度負荷があった方が燃費がいいので、単にアイドリングしているよりも充電している方が効率がいいのだ。
エンジンは加速でしか役に立たず、減速時はブレーキが熱エネルギーとして捨てているガソリン車と違い、ハイブリッド車やEVは減速時に運動エネルギーを電気に変換できる。モーターは発電機にもなるからできる芸当だ。
しかもバッテリーをたくさん積まなければならないEVと違い、走行中にエンジンが発電するためハイブリッドはバッテリーを少ししか搭載しなくて済むので、高性能なバッテリーを少しだけ積めばクルマは出来上がる。EV1台分のバッテリーでハイブリッドは10台は生産できるのだ。
電力を再生可能エネルギーだけで賄えるようになるまでは、EVは実際には完全にクリーンな乗り物ではないから、ハイブリッドは現実解として最適なエコカーだろう。
外部からも充電できるプラグインハイブリッドは一見、全部を兼ね備えた万能選手のように見えるけれど、実はバッテリーだけでほとんどの用事が済ませられるのなら、エンジンと燃料はただ運んでいるだけになるので無駄になる。充電切れの心配はないが、車両価格は高いし、リサイクル時にも余計なコストが嵩むので、あまりエコでも経済的でもない。
日本は資源に乏しい国なので、バッテリーの原料もガソリンも輸入に頼っている。今後、本当にクリーンで地政学的にも強みをもつエネルギーを手に入れなければ、ますます貧乏な国になってしまう。
そのためには水素をはじめとした合成燃料やバイオ燃料を国産化することが大事。そうなればハイブリッドはまた強みを発揮するモビリティへとして活躍できるのだ。