ブレーキフルードの正しい交換頻度とは
エンジンオイルの交換頻度がネットでよく話題になる。半年または5000kmとか、シビアコンディションとは? なんてのが主な要素だ。
しかしブレーキフルードの交換について話題になることは少ない。ブレーキの点検に含まれていると思う方もいるだろうが、ブレーキパッドの減りはチェックされても、ブレーキフルードは量だけ点検してOK、なんてケースが多いのである。
そしてブレーキフルードが劣化したまま乗っていると、危険なことにもなりかねないのである。
それはブレーキパッドが十分にあってもブレーキが効かなくなる可能性もあるからだ。
クルマのブレーキフルードは、ブレーキシステムにおいて重要な部品だ。長時間使用すると、ブレーキフルードは劣化し、その性能は低下していく。
劣化したブレーキフルードはブレーキシステムの操作フィールを悪化させるだけでなく、ブレーキの効きが悪くなり、車両の安全性が低下することになる。そのため、定期的なブレーキフルードの交換が必要なのだ。
ブレーキフルードは、ブレーキキャリパーから繰り返し伝わる高熱と、キャリパーピストンのシールの摩耗などによる不純物などにより劣化していく。ピストンがわずかに動くことと、シールは表面のフルードによって密閉性が保たれているので、ここから空気中の水分が混入していくことでも劣化は進む。
ブレーキフルードが劣化するとどうなる?
ブレーキフルードが劣化すると、ベーパーロックという現象が起きる可能性が高まる。ベーパーロックとは、ブレーキフルードが高温になることで発生する、フルード内で気泡が発生した状態だ。
ベーパーロックが起こると、ブレーキペダルを踏んだ力を気泡が潰れることで吸収してしまい、ペダルストロークが伸びてブレーキが効かなくなる。ベーパーロックは、特に高速道路などで連続的にブレーキを使用する場合に起こりやすい。
できれば車検ごとにブレーキフルードを交換するのが理想的だ。ユーザー代行車検など格安車検業者は、こういう作業を省いて低価格(オプションになる)を実現しているところが多い。ディーラーでは定期的にブレーキフルードを交換するよう推奨しているから、車検整備の作業にも含まれていることが多い(だからディーラー車検は費用が嵩むのだ)。
ブレーキフルードを定期的に変えなければ、衝突被害軽減ブレーキなど最新のADAS(先進運転支援システム)を装備していても、本来の性能を発揮することはできない。ブレーキフルードを交換していれば、衝突しないで済んだなんてことになったら、後悔してもし切れない。
ブレーキフルードを交換するとブレーキペダルを踏んだ時の感触がしっかりとして、微妙な制動力の調整がしやすくなる。スポーツドライビングを楽しむドライバーであれば1年に1度、ブレーキフルードも交換することをお勧めする。どんなブレーキチューンより効果的な基本のメンテナンスだ。