近年、自動車の盗難件数が増えており、特に高級車や人気のある車種が狙われる傾向にあります。この記事では、最新のセキュリティ技術を駆使して盗難からクルマを守る方法について探っていきましょう。
クルマを守るためのセキュリティ対策とは
自動車の盗難手口の一つに、CANインベーダーと呼ばれる装置を使ったものがあります。これは車両のCANバスと呼ばれる通信システムに侵入し、ドアロックを解除してエンジンを始動させることができるというものです。
スマートキーやプッシュスタート/ストップが採用されたことを悪用している手段と言えます。CANインベーダーに対抗するためには、クルマに市販のセキュリティシステムを追加して強化する必要があります。セキュリティ専門の業者に相談し、最新のセキュリティシステムを取り付けることをおすすめします。
コードグラバーやリレーアタックといった高度な盗難手口も存在します。これらの手口は、スマートキーの電波を利用してクルマを盗むものです。コードグラバーは本来、クルマのキーを紛失したオーナーの救援措置のために開発された技術を悪用しているのです。
こうした盗難の手段に対して、一般的なセキュリティシステムでは対策が難しいです。しかし、最新のセキュリティシステムではこれらの手口に対抗するための機能が搭載されています。
購入する際には、セキュリティシステムの仕様を確認し、コードグラバーやリレーアタックへの対策が十分に行われているかを確認しましょう。
駐車場のセキュリティ環境を高める
クルマを盗難から守るためには、駐車場のセキュリティ環境も重要です。特に防犯カメラの設置は効果的です。防犯カメラがあることで、盗難のリスクを下げることができます。
しかし防犯カメラがあっても、自動車泥棒のプロは数分でクルマを盗み出してしまいます。月極駐車場を選ぶ際には、奥まった人目につきにくい場所などは避け、近隣の防犯カメラの有無などを確認しましょう。
物理的にハンドルを回せないようにするハンドルロックは一見、効果的な防犯装置に思えますが、ハンドルロック自体は強靭でもハンドルのリムは衝突時の安全性も考えて強度が調整されているので、簡単に切断されてしまいます。ハンドルロックはハンドルのスポークを跨いだ構造のモノを選ぶなど、さらに吟味することをお勧めします。
ホイールロックは、タイヤを固定して車両の移動を防止する装置です。盗難の際には、ホイールロックを取り外す手間がかかるため、泥棒は狙いを変える可能性が高いです。
特に駐車場や長時間停車する場所では、ホイールロックの使用を検討しましょう。さまざまな種類のホイールロックが市販されており、予算や使用状況に合わせて選ぶことができます。ただし大きなSUVなどではホイールロックを装着したままクルマを強引に動かして持ち去る事件も起きています。
SNSでの情報発信には注意が必要
クルマを盗難から守るためには、情報の共有と警戒心の持ち方も重要です。SNS上で気軽にクルマの写真や位置情報を公開することは、盗難のリスクを高める可能性があります。特に海外で人気の車種や高級車を所有している場合は、注意が必要です。自己防衛のためにも、情報の共有には慎重になりましょう。
人気車種はそれだけ盗まれやすいという意識をもち、自動車保険で車両保険への加入やセキュリティシステムの追加など、万全の対策を取ることが大事です。
盗まれたクルマはどうなるのか
自動車盗は、クルマを盗むとコインパーキングに2、3日放置することが多いと言われています。それは車体にGPSが取り付けられていると、アジトが見つかり一網打尽にされてしまうことを避けているからのようです。SNSなどで不審なクルマを見つけたことを報告されて、それにより盗難車両の発見につながることも増えてきました。
しかし盗難されたクルマの多くは持ち主の元に戻らず、バラバラに分解されたり、前後2つに切断されて輸出され、海外でバラ売りあるいは溶接して再び1台のクルマとして販売されるケースが多いようです。
自動車の盗難は全体としては減っていますが、一部の車種では増加傾向にあり、高度な盗難手口も存在します。クルマを守るためには、最新のセキュリティ技術を駆使し、適切な駐車場の選択や情報の共有にも注意が必要です。愛車を守るためのセキュリティ対策を十分に行い、安心してドライブを楽しみましょう。