クルマのマフラー交換と言えば、スポーツマフラーに交換することで音量やサウンドの変化、パワーアップの効果が期待できるものだ。しかし近年の音量規制の厳格化や、エンジンのトルク特性や最高出力、燃費性能の向上により、マフラー交換だけでは本来の効果が得られにくくなってしまった
つまり昔と比べてマフラー交換が意味のないモディファイになってしまったようなのである。その理由をこれから解説しよう。
スポーツマフラーへの交換によって得られる最も大きな効果は、排気音の変化だ。昔はスポーツマフラーに交換することで、より迫力のあるサウンドを楽しめた。
しかし、近年は音量規制の厳格化により、スポーツマフラーに交換しても排気音を大きくすることは難しい。そのためアフターパーツメーカーは音量を抑えながら、音質を追求することでスポーツマフラーの価値を維持しようとしている。
またマフラーの途中に切り替えバルブを設けることで、静かな音量のモードとスポーツ走行を楽しむモードを使い分けるタイプのマフラーも登場した。これはスーパーカーに採用されている仕組みを応用したものだ。
音量を大きくできないのであればマフラーカッターでルックスを変化させるだけで十分、というメーカーも登場している。エンジンパワーを引き上げるのはECUチューンや過給機の追加で実現するが、マフラーはノーマルという、以前では考えられないチューニングのアプローチだ。
最近のクルマのエンジンは、トルク特性や最高出力を最適化するために細かく調整されている。しかし、マフラー交換によって排気効率が変化すると、エンジンのトルク特性や最高出力に影響を及ぼすことは間違いない。だが最新の車種では、エンジンの制御システムが高度化しており、マフラー交換だけでは効果が限定されることが多いのだ。
以前はターボ車であれば、スポーツマフラーへの交換で大幅なパワーアップを実現することができた。しかし現在はターボのブースト圧の制御をECUが行っているため、ECUチューンをしなければパワーアップに結びつかない。
さらに最近のターボ車は排気量を小さくして、高負荷時にはターボによって駆動力を得るライトサイジングターボを採用するクルマが増えている。この場合、タービンのサイズも小さいのでスポーツマフラーによる背圧軽減もあまり期待できない。
上記の理由から、クルマのマフラー交換が意味のないモディファイになってしまった理由は明らかだ。音量規制の厳格化によって、マフラー交換だけでは本来の効果が得られにくくなっている。クルマのパフォーマンスを向上させるためには、むしろエキゾーストマニホールドを交換した方が効果的だ。
クルマのマフラー交換は、音量やサウンドの向上を期待するものだが、近年の音量規制の厳格化やエンジンのトルク特性や最高出力、加速性能の向上により、マフラー交換だけでは本来の効果が得られにくくなってしまった。クルマのパフォーマンスを向上させるためには、マフラーより高価だがエキゾーストマニホールドの交換やECUチューンが不可欠になってきたのだ。